Keikoが1ヶ月滞在した北海道勇払郡厚真町
町のことを書いたコラムから辿りついた
株式会社たのしいのホームページ
“大切なことはゆっくり伝えたいから、大人の「たのしい」は急がない。”
この一文に惹かれ 営んでいるのはどんな方なのか 話を聞きに伺いました
株式会社たのしいを営んでいるのは 堀田祐美子さん
結婚を機に厚真町へ
旦那さんが農家 それが農業と関わるきっかけとなりました
現在は 原木しいたけの加工・販売を中心に
北海道特産の果実ハスカップなど
厚真町の自然が生み出す恵みを届けています
北海道勇払郡厚真町は
農業・林業・水産業と自然と共に多くの人が営みをつくっている町
移住者も多く農業支援・企業研修型・起業型など様々な地域おこしの人たちが集まってきています
2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では
土砂崩れや家屋倒壊等の甚大な被害がありました
【家族を人生の真ん中に】
もともと
家族を自分の人生の真ん中におきたいと思っていて
加えて北海道胆振東部地震をきっかけに
いつどうなるか いつ死んじゃうかわからないとなったときに
どうありたいかと考えたら
自分がしたいことをやった方が 後悔なく生きれるし
もし 突然私が死んだとしても
その分子どもたちには 幸せに過ごしてほしいと思っていて
そのためには 何ができるかと思ったら
仕事のことを ちょっとずつ
子どもたちへのメッセージだと思って 残せたらいいなと思って
文章とかコラムを書いたり
webサイトでこういう思いで物を作ってますと伝えたり
そうしたら
こういうことを考えて
仕事をしていたんだなと知ってもらえるし
楽しく仕事をしていたんだなっていうのを
感じてもらえるかなと思って
だから 発信するのは お客さんになってほしい人に向けての所もあるんだけど
究極自分たちの子どもたちにむけての 手紙みたいなところも あります
1番大事に思っているのは 大元が家族っていうこと
農業の仕事をはじめたばかりの頃に 全然余裕がなくて夫や子どもたちに迷惑をかけたなあと
反省しているんです
だからこれからは 家族の方を向けないくらい仕事をしたり
余裕がないところを見せたりするのは
嫌だと思っているんですよ
仕事が忙しいから今は無理というのを
できるだけしたくないなと思って
余裕がないところを見せたくないっていうのは
弱いところを見せたくないんじゃなくて
あなたたちの方を向いてるよっていうのを見せたいという感じかな
1番大切なのは家族っていうのは
ブレずにいきたいなと思っています
【仕事をはじめるきっかけ】
結婚してすぐ 子供たちが3人続けて生まれたので
つい最近までは農業に関わることがなくて
毎日保育園に行くだけの生活が続いていました
だから多分すごいね
社会とのつながりを求めていた
社会の役に立ちたいみたいな
ずっと家にいて 子ども達の相手をしている
子供たち大好きなんだけど
社会で自分が全然役にも立ってないし
お金も生んでないし
私ってどんな私だったっけというのが 1回あったんです
自分のアイデンティティが揺らいだというか
自分ダメじゃないかと 自分が苦しくなってきて
自分を嫌いになりそうで 夫に無理を言ってかなり強引に
仕事をはじめました
地震のちょっと前くらいに
末っ子が保育園に入ったタイミングで
農作業をひとつずつやっていったんですよ
主にしいたけの 収穫だったり 選別だったり
思ったんですけど
三大欲求みたいな感じで
人に喜んでもらうとか役に立ちたいとか
そういう欲求が あるような気がしていて
私の場合 誰かに喜んでもらいたいというのは
自分のエゴなんだよね
喜んでもらえると自分が嬉しいからやってるっていう
それで自分が満たされる 頑張れるなら
そっちのベクトルに向いてもいいと思います
それこそ私は 人に良く思われたいというのが強くあったような気がするんだけど
それも今はそんなになくて 段々薄れていって
やっぱり役に立ちたいというのは 自分の欲求とか
エゴなんだと思うようになってきた
人に良く思われたいから 人の役に立ちたいのかと思ったけれど
自分がやりたいんだなって思ったんですよね
【おいしくて たのしいほうが わたしの道だ】
短歌が大学生のときから好きで
加藤千恵さんの「まっピンクのカバンを持って走ってる楽しい方があたしの道だ」というのをもじったのがわたしのスローガン
「おいしくて たのしいほうが わたしの道だ」
それと、日常生活に隠れている小さな喜びや楽しみを詠った橘曙覧の独楽吟という
“楽しみは“ではじまって“とき“で結ぶ短歌集が好きで
だから
最初は 株式会社たのしみにしようかなと思ったんだけど
たのしみというとたのしみが向こうに待っているような印象があるけど
たのしいの方が今楽しんでいる感じがするよねって言われて
株式会社たのしいになりました
【日常の楽しみを大切に】
地震後くらいに 小さい頃から大好きだった映画の続編で
メリー・ポピンズ リターンズという映画が公開されて
そこからは つまんない大人になんなよっていうメッセージを感じて
大人って
仕事人間になったりしがちだけど そうじゃなくて
普段の生活に楽しむアイデアをもって 楽しみなさいとか
ちょっとしたことで 魔法を使ったみたいに生活が彩るんだよとか
それは 本当に刺さって
つまんない大人になってるんじゃない?って
自分に言われている気がした
もっとね
遊び心のある素敵な大人になる予定じゃなかった?って
言われた気がしたの
それで 育児で閉鎖感に包まれて 自分嫌いになりそうって言ってた自分 ダメじゃないって思って
そこから気持ちが切り替わって
やっぱり楽しまないとだめじゃん
人生一回しかないし いつ終わるかわからないし
楽しまなきゃって思ったのがきっかけな気がします
【厚真町に来て感じること】
この町って 小さな変化に 気づきやすいと思う
季節の変化とかそういのって
外にいないと気づけないし
草が伸びてきたなっていうのも
定点観測していないと 気づかない
それに
人間が主役じゃないっていうのを感じられることが すごく大きくて
自然の中で働いてたりすると その世界にいさせてもらってるみたいな感覚になるんだよね
人のためにこういう自然があるわけじゃなくて
人が この世界に存在させてもらってるんだよなって
思ったんだよね
理屈じゃなくて 頭で考えるんじゃなくて
体感として 感じるというか
なんかちっぽけだなって
結婚するまで 社員が3000人いる所で働いていて
その人たちが 働く環境を良くするよう常に考えて働いていたので
人が主役のように錯覚してしまっていたような 感覚がします
でも
それが違うということを感じるのって ここにきたからで
私も楽になったというか
自分をちっぽけだと思うとちょっと自由になれるじゃない?
肩の力を抜いてもいいじゃんって 思えるようになったのは やっぱり自然のちからだと思うので
私の原体験とか 伝えられたら楽になる人もいるんじゃないかなって
【自分を大切にしてもらうための食べ物を作りたい】
会社員の頃 すごく仲の良かった同僚の子が
ストレスで体調を崩して辞めちゃったんだよね
もうちょっと早く気づいていたら
休職に追い込まれる前に なにかできたんじゃないかって後悔もあって
見るたびに 体が薄くなっていくから
ちゃんと食べてる?って聞いても
駄菓子食べてるとかって言ってて
なんか その
ジャンクフードを食べることを 自分に対する罰みたいに思えたんですよ
自分が役に立たなくって 自分の自傷行為みたいに ジャンクフードを食べるとか
栄養のある 自分に価値のあるものを食べない
そういうふうに思えて
その経験もあって 食べるっていうのを大事に
その子にやってあげたかったことをという想いが
今の仕事につながっている気がします
だから自分の 自傷行為じゃなくて
自分のご褒美とか 自分を大切にしてもらうための食べ物を作りたいなと思って
加工品とかも今から作りたいと思っていますけど
自分を大切にするとか
贈り物として
あなたのことが大切だよって
伝えられるような食べ物ができたらいいな
それでわたしの欲求も満たされるから
【発信する理由とこれから】
発信することによって わたしと同じような価値観の人が
集まってくるのを期待しています
この厚真町にいながら色々な人と つながることができると思うので
なおかつ 商売として成り立つように 循環して
どんどんいい関係を つなげていければ嬉しいなと思っています
大きくするっていうイメージは無いんだけど
関わってくれる人が増えてくるっていうイメージはあります
選べるというのもすごく大事で
取引先が1つしかなければ 言うことを絶対きかないといけない
それって絶対苦しいじゃん
子どもたちにも言ってるんだけど 自分が本当に嫌なのは 理由なくやめていいよって
自分で選べる世界を作りたい
それにはやっぱり 自分で発信して
自分で付き合ってくれる人たちを選んで
生きていける世界を 作んないといけないんで
それと
大学生のときから
友達呼んでご飯作ってみんなで
食べるっていうのがすごい好きなんですよ
今は 私はここにとどまっているから 来てくれることがすごく嬉しくて
その気持ちを ご飯を作って 食べて お話しして もてなすことで伝えたい
本当自分が好きなことをやって
それが仕事になれば いいなと思ってます
株式会社会社たのしい
HP
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